テコテック開発者ブログをご覧いただきありがとうございます。
ブロックチェーン事業部の藤下です。
ここに来られている方はほとんどエンジニアさんかとは思いますが 今回は技術の話ではなく、 ブロックチェーン技術がどう「楽しく」使えるかについて語っていきたいと思います。
コンセプトを一言で表すなら 「ブロックチェーンを使えばこんなことができるんだよ。エモいね!」 という感じです。
よろしくお願いします。
ブロックチェーンってなに?
まずそもそもブロックチェーンってなんぞやという方もいると思いますので まずは僕の見解を述べたいと思います。
ブロックチェーンとは、 「『誰が』、『何のデータを』、『どうしたか』をみんなで把握できるようにする仕組み」 のことです。 このあたりはいろんな考え方の人がいるので、もしかしたら怒られるかもしれません。 しかしあくまで概要を理解して使い方を夢想する上ではこれくらいの粒度で理解しておけば十分だと思います。
ですので 「ブロックチェーンって結局どうやって使えばいいんだよ?」 というかたは 『誰が』、『何のデータを』、『どうしたか』をみんなで把握できるようになると何ができるか?」と考えていただければ幸せになれます。
世間でよく言われている活用方法としては「暗号資産」「証券」「不動産」「認証」「契約」「集計」などなどがあげられます。
ここでは割愛しますが、記事の末尾にそれぞれのケースの簡単な解説をまとめておきますのでお時間があれば読んでみてください。
とりあえず、 「ブロックチェーンを使えば、みんなが正しさを認めてくれるデータを持てるよ。」 くらいで認識してもらえれば大丈夫です。
でも金融とか産業領域での活用となると、「お仕事感」が出てくるので どうしても面白くなくなりがちですよね。
そこでここで1つエモい活用事例をご紹介します。
ISSHOというサービスです。
こちらではプロポーズの言葉を指輪に刻むのではなく、ブロックチェーンに刻むサービスを展開しています。 そして指輪の方にはブロックチェーンのどこにそのメッセージを刻んだかを示すアドレスを刻みます。 前述の通りブロックチェーンに刻まれたデータは世界中のみんなが正しいことを証明してくれるという特性があるので、まるでプロポースの言葉が永遠に世界中から認められ、みんなから祝福されていると思えるような構造が出来上がります。
処理としてはデータをみんなで確認して登録するというだけなのに、 どことなく温かみを感じませんか?
ブロックチェーンの特性上、 逆にいうと指輪自体を火山に捨てようが何しようがプロポーズの言葉は永遠に残ります。 これにはサウロンもにっこりですね!
NFTでブロックチェーンをもっとエモく
NFTとは
ブロックチェーンでやり取りされるデータのうち、「NFT(non fungible token)」というものがあります。 最近注目されてきているものなのですが、これをエンターテイメントの領域で使うともっとエモいことができます。
まずNFTの特徴から説明させてください。 「NFT」とは同じ種類でも1つ1つが違うものと区別されるブロックチェーンデータのことです。
これは「シリアルナンバーつきの限定100枚の版画」をイメージしていただけるとわかりやすいかと思います。 描いてある内容は100枚でほとんど同じですが、1つ1つは全く別のものです。 NFTはまさにこれと同じで、1つとして全く同じものがないデータのことです。
逆に電子マネーやポイントの場合、 1ポイント1ポイントのデータは全く同じで区別することはできません。 誰かの持っている1ポイントは自分の持っている1ポイントと全く同じで区別することはできません。 (こういった類のブロックチェーンデータは「fungible token」と呼ばれます。)
NFTがエンターテイメントにもたらすもの
今のエンターテイメントコンテンツでは、 運営からデジタルのキャラクターを購入する場合、すべての人に同じデータが配られるという構造になっています。
このような状況に、NFTデータという概念を導入するとどうなるでしょうか。
NFTの技術を使って、全く同じものが2つと存在しないという形でゲームデータ提供すると、今までにない楽しさを2つ提供してくれます。
1つは、「金融の面白さ」 もう1つは、「リミテッドの価値」です。
1つづつ見ていきましょう。
NFTがもたらすもの①:金融の面白さ
アイテムやキャラクターのデータとしてNFTを使ったケースを考えてみましょう。 そして、それにシリアルナンバーが付いていたり限定数が設定されていたらどうでしょうか。
NFTは世界に2つとないデータなので、 隣の人が持っているものと自分が持っているものは同じ種類だとしてもシリアルが違う全く別のものです。 また、限定数を決めてデータを作った場合、ブロックチェーンの特性上複製は不可能ですので限定数が確実に担保されます。
さらにこのアイテムに人気があった場合はどうでしょうか。 限定のアイテムが欲しい!自分好みのシリアルナンバーがどうしても欲しい!という需要が生まれます。 メルカリやヤフオク!で現実に行われているように、希少価値のあるものはユーザー間で取引されることになり、そこには金融経済が生まれます。
欲しいと思うユーザーが多ければ値段が上がり、少なければ値段が下がる。 ゲーム内の環境の変化は需要に連動し、需要は価格に連動します。 まさに金融とほとんど同じ構造がエンターテイメントの世界に再現されているのです。
ユーザー同士の取引が行われる時、 もしかしたら売った人は「買った時よりも高く売れた!」と喜んでいるかもしれませんし、 買った人は「もっと値上がりするはず!」とほくそ笑んでいるかもしれません。
もしかしたらゲームそっちのけでアイテムの売買をゲームとして楽しみだすユーザーも生まれるかもしれません。
このようにNFTはエンターテイメントの世界に金融の楽しさをもたらし、 今まで以上のドキドキやワクワクの提供を可能にします。
NFTがもたらすもの②:リミテッドの価値
みんなが認める価値:市場価値
繰り返しになりますがNFTは世界に2つとないデータです。 数に限りがある場合、ブロックチェーンの特性から限定数が確実に担保されます。
「限られたものを所有することの楽しさ」 これはNFTによってもたらされる楽しさですが、 従来のデジタルコンテンツにはなかった楽しさです。
そして特に人気のものが出てきた時は 正真正銘の「リミテッド」な価値を求めて争奪戦となり、 二次市場の活性化を促進します。
自分だけが認める価値:愛着
NFTは人がそれぞれ2人と同じ人間がいないように、 「世界に2つとないもの」をデジタル世界で実現できます。
世界に2つとないものであれば、たとえそれが市場価値がつかなくても、 「自分だけの価値」を見出して大切にできるということも考えられます。
自分だけが認める価値とはなんでしょうか それはすなわち「愛着」と言い換えることができます。
例えば、従来のゲームでは頑張って頑張ってキャラクターを手に入れて育てたとしても 全く同じキャラを持っている人は他にも大勢います。
このことをちょっと寂しいと思ったことはありませんか?
一生懸命ゲームをやって、ゲームの中で一緒に旅をしたり戦ったりしたキャラクターも、 どんなに苦楽を共にしても、どこかの誰かと全く同じキャラデータに過ぎないんです。
自分がゲームで体験したり感動したりしたことは唯一無二な出来事なのに、 データは変わらず全員共通なものなんです。
しかし、キャラクターがNFTで作られている場合どうなるでしょうか。 1つ1つが世界に2つとない自分だけデータと言われたら愛着がわきませんか?
一緒に世界を冒険したキャラは本当に自分だけの相棒になります。 自分のアバターは文字通り2つとない自分の分身になります。 自分が獲得した栄誉は他の誰も獲得できないユニークな実績になります。
「市場価値」という形で他人が価値が認めてくれなくても、 「愛着」という形で自分だけが認める価値を創造することができる…
これってとってもエモーショナルなことだと思います。
価値観の変化
これまで書いたことは、 もしかしたら今の価値観とはズレているかもしれません。
でも、価値観とは常に移り変わるものだと思います。
ネットで顔出しすることに強い抵抗のあった価値観から、YouTubeなどで顔を売ってなんぼの価値観へ。 リアルの書籍、CDじゃなきゃ嫌という価値観から、電子書籍、サブスクリプション優先の価値観へ。 組織に所属しなければならないという価値観から、個人が独立するという価値観へ。
そうやって価値観が変化していったように、デジタルデータにリアルなモノと同等の価値を見出す世界がやってくるかもしれません。
そうなったらほんとに、「エモい」ですよね。
さいごに
テコテックという会社は金融からエンターテイメントまで幅広い事業を手がけているので、割となんでもやらせてもらえます。
僕自身もゲームのディレクションをしたりブロックチェーンのコンサルティングをしたり開発のディレクションをしたりUI/UXを設計したりゲームの企画を書いたりと、やりたいと言ったことを割となんでもやらせてもらえています。
変化を楽しめる方にはとてもエモい会社なので是非ご応募ください。
補足(蛇足)
よく言われているブロックチェーンの利用方法について、 それぞれブロックチェーンのどのような特徴を利用しているのかを簡単に解説しました。
「暗号資産」「証券」「不動産」への利用
『誰が』、『何のデータを』、『どうしたか』をみんなで把握できるようになれば、ある人があるデータを持っていることを公然と証明できます。 データにみんなが価値を見出せば、データを持っているということがすなわち資産を持っているということと同じことになります。 お金って突き詰めると、ある価値を持っているってみんなが認めてくれる社会があって初めて成り立つものですもんね。なんか禅問答みたいになってきましたので。データが資産になるということだけ覚えてもらえれば大丈夫です。
「契約」「集計」への利用
こちらは履歴を追ってデータ集計できるということです。 これはブロックチェーンじゃなくてもできるじゃないかと思われるかもしれませんが、 ブロックチェーンを使ってみんなが見ている前で集計&追跡すれば絶対に不正が起こらないという点がミソです。
「信頼できる情報ソース」としての利用
ブロックチェーンを使ってみんなが見ている前でデータを登録し、その後も監視を続けて改ざんされないようにすれば、とても信頼できるデータベースが出来上がります。 何しろみんなで見て処理しているので全員が「そのデータは正しいね!」と証明してくれます。