本投稿は TECOTEC Advent Calendar 2025 の18日目の記事です。
ソリューション本部の津田です。 普段はUIUXデザインを担当しております。
SNSを眺めていると、次のような投稿が目に留まりました。 「プロンプトを入力するだけで、それらしいUIが一瞬で生成される。UIデザイナーが不要な未来が見える」 「いい感じのプレゼン資料が簡単に作れた」 AIによるUI生成は日々進化しています。こうした情報に触れ、胸の奥が少し冷たくなるような感覚を覚えたUIデザイナーの方も、決して少なくないのではないでしょうか。
AIに対する不安
「これまで自分が積み上げてきたものが、無意味になってしまうのではないか」 配色や余白、タイポグラフィなど、ユーザーの体験を考えながら1px単位で試行錯誤してきた努力が、数秒で生成されるUIによって簡単に再現されてしまう。 そう感じたとき、「自分の努力にはもう価値がないのでは」と思ってしまいます。
さらに、目まぐるしい進化スピードのAIについていけないという、もう一つの不安があります。 新しいツールやモデルが次々と登場し、SNSでは「このAIを使えば生産性が何倍になった」「もう手作業には戻れない」といった声が流れてきます。そうした情報に触れるたび、 「自分は十分にキャッチアップできているだろうか」 「気づかないうちに、時代遅れになってしまうのではないか」 と焦りを感じます。 日々の業務に追われながら、常に最新のAI技術を学び続けることは簡単ではありませんが、取り残されてしまわないように日々情報を追う、というより追われています。
消えていった職業
産業革命以降、技術の進歩によって消えたり、大きく姿を変えたりしてきた職業は数多く存在します。 初期の代表例としては、手織りの織工が挙げられます。機械化による大量生産が進む中で、熟練した手仕事は競争力を失い、多くが工場労働へと移行しました。 自動車の普及によって馬車の御者や厩務員といった職業が衰退し、都市生活の基盤そのものが変化しました。飛脚や伝令は電信や電話の登場によって役割を終え、20世紀には電話交換手が自動化によって不要になっていきます。活版印刷の職人はDTPの普及によって仕事の形が大きく変わりました。
AIを題材にした映画の多くがディストピアを描いているのも、こうした技術不安を象徴しています。 『ターミネーター』『マトリックス』『エクス・マキナ』など、AIが人間よりも「うまくやってしまう」世界が描かれています。
UIデザイナーの未来
一方で、UIデザイナーが完全に不要になる未来は、少し違うのではないかと考えています。 現実のプロダクト開発では、生成されたUIだけで成立しない場面が数多く存在します。 ビジネス要件とユーザー体験の調整、技術的制約との折り合い、組織内での合意形成、そして運用や改善を前提とした設計など、UIデザインは常に複数の要素の間で判断を求められます。
AIは「画面」を作ることはできます。 しかし、そのUIに対して責任を持つことはできません。
ここで言う責任とは、
- なぜこの選択をしたのか
- なぜ今それを行わないのか
- 誰にどのような影響があるのか
それらを説明し、引き受けることです。
この領域は、まだ人間が担うべき部分だと考えています。 不安を感じるのは、UIデザインを自分のアイデンティティとして大切にしてきたからこそです。 だからこそ、この恐怖や焦りは恥ずかしいものでも、否定すべきものでもありません。
むしろ、 「自分は何に価値を提供してきたのか」 「これからどこに責任を持つのか」 を見つめ直すための重要なサインだと言えます。
歴史的に見ても、「何も変わらなかった職業」は存在しません。UIデザイナーも例外ではありません。
おわりに
デザインする楽しさや、成果を評価される喜びが変化していく寂しさを感じることはあるかもしれません。 それでも、AIの進化は止まりません。いずれは人間と同じようにこなすAIが出てくるでしょう。 だからこそ私たちは、変化を前提に、自身の役割と価値を再定義していく必要があるのではないでしょうか。
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