【月刊】Web3.0トピック振り返り~2024年2月編~

はじめに

こんにちは。次世代デジタル基盤開発事業部の鈴木康男です。エンジニア・PMとして、Web3.0に関わるプロジェクトを担当しております。

「【月刊】Web3.0トピック振り返り」では、毎月Web3.0関連で気になったトピックを取り上げて紹介していきます。

前回のトピックは、過去記事をぜひご覧ください。

tec.tecotec.co.jp

1. ENSがDNSドメインとのガス代無料の統合機能を実現

ENSは、Ethereum上で使える、ブロックチェーン上のドメインです。 「〇〇.eth」という文字列を、ウォレットアドレスに対応付けることができます。

そして、従来より、DNS(△△.comなど)と、ENSを対応付けることは可能だったものの、 Ethereumのガス代(手数料)が必要でした。 場合によっては0.5ETHにも達することがありましたが、EIP-3668という規格によってガス代無料が実現しました。

ブロックチェーン内外のドメインの統合が進むことで、新しいイノベーションが生まれる可能性を感じます。 例えば、Ethereumの中でDNS(△△.comなど)を指定して送金を行う、といったことが可能になります。

blog.ens.domains

2. 複数のブロックチェーンにまたがる貸し出し、借入を実現するクロスチェーンDeFiの隆盛

本来、異なるブロックチェーン同士は保持する情報が独立しています。相互にやりとりする方法(クロスチェーン)は、様々な開発が進められています。 最近、複数のブロックチェーンをまるで一つであるかのように扱い、トークンの流動性を共有するソリューションが存在感を増しています。 例えば、Aチェーンで預けられたトークンを、Bチェーンで他の誰かが借り入れる、といったことが可能になります。

Pike Financeというソリューションを一例としてURLを掲載します。 Pike Financeは、CircleのCCTP(Cross-Chain Interoperability Protocol)、Wormholeのメッセージング、Pyth Networkの価格フィードという3つの基本技術によって支えられています。 Web3.0を象徴する考えの一つであるコンポーザビリティ(レゴブロックのように複数技術を組み合わせること)を体現していて、技術の観点でも興味深いです。

mirror.xyz

3. Astar zkEVMがPolygonのAggLayerに接続する初のブロックチェーンに

「Astar zkEVM」は、Ethereumのレイヤー2ソリューションです。 Astar zkEVMが、Polygonが提供するAggLayerに接続する初のチェーンになることが発表されました。 AggLayerは、複数のブロックチェーンが接続し、相互にトークンの流動性を共有することを可能にします。 Astar zkEVMは3月頭にローンチされたばかりですが、Agglayerに接続することで最初から流動性を確保できます。

Polygonの押し進めるエコシステムの肩にAstarが乗る形で、コンポーザビリティが体現されていると感じます。

www.neweconomy.jp

4. Farcasterの台頭:分散型ソーシャルネットワークのユーザーが増加中

分散型のソーシャルネットワークのためのプロトコルであるFarcasterが、Web3.0に関心のある開発者を中心に注目を集めています。 Farcasterでは、ユーザーは自分のデータを所有し、Farcaster上で作成されたアプリ間でフォロー、フォロワーの関係を持ち運ぶことが可能です。 最も人気のあるアプリケーションはWarpcastで、X(旧Twitter)に非常に似ています。 X(旧Twitter)ではフォロー・フォロワーの関係のデータは運営元に保持されていて、他のSNSに持ち運ぶということは不可能でした。 Farcasterでは、ユーザ間の関係がブロックチェーンに保持されることによってアプリケーションを超えて持ち運べるようになりますので、まさにWeb3.0的な設計と言えます。

同様のプロトコルであるLensも、これまで招待制だったところ、アカウント作成を一般開放しています。 分散型ソーシャルネットワークのユーザーの拡大が、いよいよ本格化してくる波を感じます。

www.thedefinvestor.com

thedefiant.io

5. NFTとファンジブルトークンの性質を併せ持つERC-404が業界を揺るがす

NFT(ERC-721)とファンジブルトークン(ERC-20)の性質を併せ持つトークン(ERC-404)が登場し、採用するNFTマーケットプレイスや、ウォレットが少しずつ増加しています。 この新しい性質のトークンはNFTでありながらも、ERC-20トークンとしてDEX(分散型取引所)などで売買することができ、NFTの課題である流動性の低さを解消するアプローチが採用されています。 技術的には、ありそうでなかった発想が実装されており、興味深いです。

ただし、ERC-404はEthereumのコミュニティにより正式な監査がなされていない状態であり、非公式な規格と言えます。 Ethereumコミュニティの監査というプロセスを踏まないまま広くトークンが流通したことに対しては、賛否両論の議論が起こっています。

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今回取り上げたトピックは以上です! 次回もぜひご一読ください。

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