【月刊】Web3.0トピック振り返り~2024年1月編~

はじめに

こんにちは。次世代デジタル基盤開発事業部の鈴木康男です。エンジニア・PMとして、Web3.0に関わるプロジェクトを担当しております。

「【月刊】Web3.0トピック振り返り」では、毎月Web3.0関連で気になったトピックを取り上げて紹介していきます。

前回のトピックは、過去記事をぜひご覧ください。

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1. 完全並列化EVMを目指す「Sei v2」

1月は、イーサリアムのエコシステム以外のレイヤー1ブロックチェーンのトピックが多い印象でした。 代表的なものはSolanaです。トークンのエアドロップなど投機熱で盛り上がっていた印象はあるものの、Solana上で継続的な開発が行われていることが伺えました。

Seiもレイヤー1ブロックチェーンです。2024年にローンチ予定であるv2は、「完全並列化EVM」を掲げており、技術的に興味深いと感じています。 EVMとはイーサリアムで採用されている、スマートコントラクト実行環境の規格です。EVM互換であれば、イーサリアムで動いているスマートコントラクトのプログラムを流用することができます。

多くのブロックチェーンでは処理の競合を避けるため、並列実行ができません。イーサリアムも例外でなく、処理の遅さの原因の一つです。 Sei v2では、Optimistic Parallelization(楽観的な並列化)という技術によって、EVMでの処理を並列に実行することを目指しています。 大幅な性能向上が見込める可能性があり、イーサリアムのエコシステムからユーザーを奪っていく可能性がありますね。 note.com

2. 能登半島地震被害への支援のため、Astar NetworkやHashPaletteなどが暗号資産での募金を実施

能登半島地震の事態に対応して、国内で数々のブロックチェーン関連企業が暗号資産を活用した寄付金を募りました。 迅速に寄付サイトを構築し、SNSの発信を活用してスピード感をもって対応していたのが印象的でした。

暗号資産での募金というと、送金スピードや海外送金と比べた時の手続きの簡易さで、大きなメリットがあるように思います。 一方で、税制面でのハードル(寄付控除にならない等)があったり、寄付を受けた側が暗号資産のままでは使えず円に交換する手間が発生するなど、現状の課題も露わになりました。

今後、最もハードルの低い募金の手段として暗号資産が活用されるよう、公共財としての技術開発が望まれる分野と感じました。

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3. ビットコインETF上場へ、SEC米国史上初の現物ETFを承認 

最も話題を呼んだニュースだったように思います。 暗号資産市場への信頼を高め、機関投資家の資金が流入しやすくなると言われています。 一方で、SECにとっては、「ビットコイン以外の暗号資産は証券であり、規制すべきだ」という論理を主張しやすくなったとも 取れます。

今後、ビットコイン以外のETFが承認される流れとなるのか、注目しています。

coinpost.jp

4. 食とヘルスケアに特化したレイヤー1 パブリックブロックチェーン「ONIGIRI Chain」

ネーミングがキャッチーで、印象に残ったリリースです。 食とヘルスケアに関するデータを収集/蓄積し、利活用していくことを目指しています。 ブロックチェーンによってデータの永続的な保存ができ、トークンの活用でエコシステムを構築していく構想のようです。

以下の説明が、ユースケースとしてイメージしやすいです。

グルメアプリで得られた喫食データをもとにヘルスケアアプリでユーザーに対してレコメンドを行うなど、これまでになかった新たな価値を創出することが可能となります

技術面では、「Avalanche Subnet」を活用し、プライベートチェーンとパブリックチェーンを組み合わせているところに工夫を感じます。 prtimes.jp

5. StarknetがCelestiaを活用しLayer3 appchainsを構築予定

耳慣れぬ英単語が並び何が何だか・・というところですが、 「部品同士を組み合わせて作るブロックチェーン(モジュラー型ブロックチェーン)のトレンドが加速している!」 という点さえ押さえていただければ幸いです。

Starknetはイーサリアムのエコシステムに構築されたL2チェーンです。 Celestiaは、ブロックチェーンに必要な構成要素のうち、「Data availability layer」に特化したブロックチェーンです。 Cosmosと呼ばれるエコシステムに存在しています。

異なるエコシステムに存在するStarknetとCelestiaがコラボレートして、新たなブロックチェーン( Layer3 appchains)を作ろうという構想です。 これまでバラバラに存在していたブロックチェーン同士が、役割を補い合うことで新たなブロックチェーンを作っていくというトレンドは、 今年ますます進みそうに思います。

www.theblock.co

今回取り上げたトピックは以上です! 次回もぜひご一読ください。

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