はじめに
こんにちは。次世代デジタル基盤開発事業部の鈴木康男です。エンジニア・PM・マネージャーとして、Web3.0に関わるプロジェクトを担当しております。
先日、社内のAI勉強会で「AIによってマネジメントにレバレッジをかける」というテーマで発表させていただきました。その際、参加者の皆さんから「そんなところにもAIが使えるんですね!」という驚きの声をいただきました。
AIと聞くと、プログラミングや技術的な業務での活用をイメージされる方が多いのではないでしょうか。しかし実際には、私たちの日常業務の様々な場面でAIを活用することができます。
今回の記事では、その発表内容をもとに、「え、こんなところでもAIが使えるの?」という気づきを皆さんにも感じていただけるよう、マネージャー業務でのAI活用事例をご紹介します。具体的なプロンプトの詳細は示しませんが、これは個別のテクニックを伝えることが目的ではなく、様々な場面でAIを使える可能性があること、そして試行錯誤しながら活用していくことの大切さを感じ取っていただければと思うからです。意外な場面でのAI活用の可能性を感じ取っていただければと思います!
マネージャーの仕事を3つの視点で分類
まず、マネージャーの業務を以下の3つの視点で分類してみました:
1. メンバーの成長支援
例)フィードバック、評価
2. 会社の方針理解と実行
例)経営方針の理解と浸透、組織運営
3. 社外からの情報収集
例)市場動向の把握
それぞれの業務で、どのようにAIを活用できるかを紹介していきます。
メンバーの成長支援におけるAI活用
ギャップフィードバックのシミュレーション
メンバーの成長支援において、フィードバックはマネージャーにとって非常に重要な業務です。特に、期待する姿と現状の行動との間にギャップがあることを伝える「ギャップフィードバック」は、冷静かつ慎重に進める必要があります。
時には、他の人から「〇〇さんのあの時の振る舞いが気になった」というように、人づてにメンバーに関するフィードバックを受け取ることもあります。このような場合、マネージャーとして最も避けなければならないのは、その二次情報だけを鵜呑みにして、メンバーに対して決めつけや断定的な口調で話をしてしまうことです。
私が大事にしているのは、まず本人に「どんな経緯だったのか」「どういう考えでの行動だったのか」をヒアリングすることです。そして、フィードバックを伝える際も、「ルールだからこうすべきだ」と一方的に指導するのではなく、「私はこう感じたよ」というIメッセージ(アイメッセージ)を使い、本人が自ら振り返り、内省を深めるきっかけを作ることを目指しています。
しかし、日々の業務に追われていると、つい冷静に準備する時間を取れず、感情的に伝えてしまい失敗した経験も過去にはありました。
そこで活用しているのがAIです。難しいフィードバックを行う前に、AIを壁打ち相手として「こういう状況で、どう伝えれば本人の成長に繋がるだろうか?」と相談し、伝え方をシミュレーションすることがあります。AIに相談するプロセスを経ることで、一度立ち止まって客観的に状況を整理し、冷静に対応できるようになりました。この準備が、建設的で、メンバーの成長に繋がる対話を実現するための助けとなっています。
評価コメント作成
評価期間には、多くのメンバーに対してフィードバックコメントを作成する必要があります。
そこで活用しているのが、音声入力とAIを組み合わせた手法です。まず、メンバーに対して感じていることや伝えたいことを、文章としてまとまっていない段階でも、音声入力で一気にテキストに書き出します。
次に、その構造化されていないテキストをAIに渡し、「評価コメントとして適切な形に構造化し、清書してください」と依頼します。これにより、思考を整理しながら、より本質的で伝わりやすいフィードバックを効率的に作成できるようになりました。
ここで私が一番強調したいのは、AIはあくまで補助ツールであるということです。特に評価フィードバックにおいて、根幹となるメンバーへの想いは、マネージャー自身の頭で考え、自分の言葉で純度高くアウトプットする必要があります。
AIは、その想いをより伝わりやすくするための構造化や要約を手伝ってくれる強力なアシスタントです。しかし、自分の頭の中にある想いや感情をまずアウトプットすることが大前提となります。そのプロセスを省略し、AIに表面上きれいな文章を作らせるだけで評価を済ませてしまうことは、絶対に避けなければならないと考えています。
繰り返しタスクの半自動化
Google Apps Script(GAS)をAIの支援を受けて作成し、以下のような繰り返し業務を自動化しています:
- Googleフォームの作成と集計
- Slackボットの活用
- スプレッドシートのデータのグラフ化
会社の方針理解と実行におけるAI活用
経営層からのメッセージの理解と浸透
経営層からのメッセージや企業理念について、AIを使って分かりやすく要約し、メンバーに伝える際の一助としています。例えば、音声で伝えられたメッセージを文字起こしし、過去のメッセージ群と合わせてNotebookLMで整理することで、内容の一貫した理解を深めています。
さらに、これらのメッセージを分析し、「今、テコテックの社員にはどのような人物が求められているのか?」といった点を可視化する試みも行いました。複雑な内容をより理解しやすい形に整理することで、チームメンバーへの効果的な情報伝達を試みています。
組織理解度向上のための取り組み
社内で周知が必要な事項についての理解度を測れるクイズアプリを、AIの支援を受けて(Vibe-Codingで)作成しました。

社外からの情報収集と対応におけるAI活用
業界ニュース・技術トレンドの調査
GeminiのDeep Researchなどリサーチに向いた機能を活用し、業界の最新動向や技術トレンドを効率的に調査しています。得られた情報をグラフィックレコーディング形式で可視化することで、チーム内での情報共有もスムーズに行っています。
今日から始められるAI活用のヒント
AI活用というと大げさに聞こえるかもしれませんが、実は身の回りの小さなタスクから始めることが大切です。私自身も最初は「このメール返信、どう書けばいいかな?」「このスプレッドシートの数式、どうやって組めばいいだろう?」といった日常の小さな疑問からAIに相談し始めました。
大きな業務改革を目指すのではなく、まずは毎日の「ちょっと困った」を解決してもらうところから始めてみてください。うまくいけば大きな効率化につながりますし、思うようにいかなくても学びになります。この小さなトライアンドエラーの積み重ねが、AI活用スキルを着実に向上させてくれます。
そして、試してみた結果は周りと共有してみることをお勧めします。勉強会で「こんな使い方してみました」と話すと、他の人から「私はこういう使い方をしています」という新しいアイディアが返ってくることがよくあります。一人では思いつかない使い方に気づけるのも、共有することの大きなメリットです。
また、AI関連のニュースや新機能の情報にも、軽くアンテナを張っておくと良いでしょう。「今度はこんな機能が使えるようになったんだ」という情報は、新しい活用のヒントになることがあります。完璧を目指さず、気軽に試してみる姿勢が一番大切だと思います。
おわりに
今回は、私が日々のマネジメント業務でAIをどのように活用しているか、具体的な事例を交えてご紹介しました。
この記事を通して「こんなことにも使えるんだ!」という新たな発見や、AIを身近に感じるきっかけをお届けできていれば、とても嬉しいです。
私自身、最初からAIを使いこなせていたわけではありません。むしろ、小さな試行錯誤の連続でした。でも、その一つひとつの積み重ねが、確実に業務を効率化し、メンバーと向き合うための大切な時間を生み出してくれていると実感しています。
この記事で一番お伝えしたかったのは、AIは決して私たちの仕事を奪うものではなく、むしろ人間らしい、創造的な仕事に集中するための強力なパートナーになり得るということです。
皆さんも、ぜひ明日から、何か一つでも「これ、AIに手伝ってもらえないかな?」と試してみてはいかがでしょうか。この記事が、皆さんの日々の業務を少しでも豊かにする、何かのヒントになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
テコテックの採用活動について
テコテックでは新卒採用、中途採用共に積極的に募集をしています。採用サイトにて会社の雰囲気や福利厚生、募集内容をご確認いただけます。ご興味を持っていただけましたら是非ご覧ください。