テコテック&UPBOND共催イベント【Web3交流会  ~DIDやSBT、VCなどトレンドを紐解きます~】を開催しました!

皆さんこんにちは。次世代デジタル基盤開発事業部の榎本です。

数多くのイベントに足を運んでいる私ですが、今回は参加する側ではなく、テコテック&UPBOND共催でイベントを開催(4月20日)しました。 Web3交流会 byテコテック&UPBOND

ブログには書いておりませんが前回は12月に25社35名ほどの方に当社まできていただきイベントを開催しましたが、今回も30余名の方々に集まっていただきました! 募集開始10日程度で達してしまったので、*SBT、VC、DIDをテーマへの関心の高さが垣間見えた気がします。

*SBT(Soul Bound Token) VC(Verifiable Credentials) DID(Decentralized Identifiers)

当日の様子

当日は「ピッチ」→「パネル」→「ネットワーキング」という流れで行いました。 ゲスト登壇者は株式会社チケミーCTOの船木氏と株式会社ルーラCOOの田中氏、主催者側からは株式会社UPBONDのCEO水岡氏と当社のCTO川人、以上4名にお話ししていただきました。

【イベントタイムスケジュール】

ピッチ

ピッチにおいては各社のプロダクトの説明をしていただいたので、要点をまとめてみました。

◆株式会社チケミー(チケミーNFT)

  • チケット売買プラットフォームであり、NFTチケットの発行と管理を簡単に行うことができる
  • 電子チケットの利便性だけでなく、コレクション機能や二次流通機能が搭載されている
  • 所有履歴をもとにダイレクトマーケティングへ利用できる

◆株式会社ルーラ(ルーラNFT)

  • 全国の観光地で購入できる観光体験ができるユーティリティー付き。
  • ルーラコインは、前払式のデジタル通貨であり、NFTを購入する際の通貨としてだけでなく、観光地のリアル店舗のQRコード決済として利用可能。
  • 自分の好きな観光地にステーキングすることで体験型NFTやルーラトークンが付与される(Travel & Earn)

◆株式会社UPBOND(Web3ウォレット「LOGIN 3.0」)

  • 個人が直接情報資産を管理し、企業はユーザーの同意を得た上で個人情報を取得できるようになるウォレット
  • 得た個人情報を情報資産として活用することができる(建設業界のキャリアアップシステムを絡めた、実務経験情報管理への活用)

◆株式会社テコテック(株式会社Mt.SQUAREの「JOREN」)

  • 「JOREN」の開発支援をしたところを宣伝しました。

【Mt.SQUAREのWEB3.0サービス「JOREN」のウォレットの構築を支援】

www.tecotec.co.jp

パネルディスカッション

パネルは今回のサブタイトルにもあったようにSBT、DID・VCというキーワードをテーマに進んでいきました。 いくつか質問があり、それに対してのパネリストの回答という形で以下に記載いたします。

『SBT、DID・VCって何?』

川人 「それらはデジタル上のアイデンティティであり、自らの意思で証明するものです。SBTは主に自己表現に使われ、例えば『私はこのゲームでこういう勲章を得ました』とか、『このコミュニティでこういう貢献をした』とかいうものです。一方、DID・VCは身分証明で使われる物であり、例えば免許証や卒業証明書と同じようなデジタル上で完結できるものに使いやすいです。さらに、自己表現と身分証明は両立することもあり、凄い資格を取得した時などがそれにあたります。UPBONDさんが取り組んでいるように、DID・VCを情報資産として活用するのは新しいのではないでしょうか?」

『この技術をどう見ている?』

水岡氏 「この技術自体は前からあったものだけど社会実装されてこなかった背景があります。それは、発行者側(営利企業)にインセンティブ設定が無かったことが大きな原因であり、今後はもっとその観点で取り組んでいく必要があると感じています。」

田中氏 「SBTは推し活で貢献度合いを主張できる点が日本人と特に馴染みがあると感じています。一方で、DID・VCはUI/UX上の問題など、一般には広がりにくいイメージがありますね。」

船木氏 「ウォレットに紐づいたSBTの導入は面白いと思っている。また、DID・VCについては、チケミーにて各出品者の属性がそれぞれわかることによって、自身の信頼向上に繋げることができるのではと考えており注目している技術です。」

質問『Web3の自己矛盾にどう向き合っている?』

水岡氏 「必ずしも理想を追い求めるのではなく、オンチェーンとオフチェーンのデータがどっちもあっても良いと思います。そして、オフチェーンのデータも個人が鍵をかけることで守ることができ、これはWeb3の思想からは外れていません。あと、SBTなどを活用することで、パブリックチェーンを使ったとしても企業にとってビジネスロジックを入れることができる余地ができるのではないかと考えています。」

川人 「営利企業が利益を保ったまま考えたときに、これまではコンソーシアムチェーンという選択肢を取らざるを得なく、それは中央集権という自己矛盾がありました。そこに、パブリックかつ自己主権という思想のDIDが注目されるようになり、矛盾解消の入り口ができたのは大きな意義かなと思います。」

質問『Web3がマスアダプションしていくにはどうすればいい?』

田中氏 「ユーザ体験をたくさん増やして、心理的距離感を下げていかないといけないですね。特に手軽に簡単にできるサービスが身の回りにたくさん存在させる必要があると思います。」

船木氏 「昨今、NFTにするためにブロックチェーンの技術を使おうとしているケースが多く、本来は何か解決したいものがあるから使うというものであってほしいと思っています。なので、その件数が逆転した時にもっと広まるのではと感じています。今後広まっていく過程で、給与がトークンで払われる等が主流になったらそのスピードは短縮するかもしれないですが、一般への普及へはまだまだステップがいる段階です。」

川人 「大企業が参入するかどうかがポイントだと考えています。ただ、大きく2点の障壁があり、既存事業とのバッティング(収益に繋がる仕組みを考えられていないこと)や、法規制・税金まわりのハードルがあることです。法関連は各々頑張るしかないかなと思いますが、収益の点ではDIDなどを活用して解決していくことができるのではと考えています。」

水岡氏 「現在、金融庁の指針ではステーブルコイン導入において、KYC(本人確認)済みアカウント同士の取引をしてくれと言っており、日本円と同等の価値を持つものがパブリックチェーンで実装されると、船木氏が言っていたステップが一気に進む気がしています。」

全体を通して

今回のイベントではSBT、DID・VCをテーマとしたイベントを開催したわけですが、既に知っている人も多少いましたが、どんなものか知らない人の方が多かったような印象でした。既に何年も前からあった技術ではあるのですが、認知度合が低いということはまだまだ広まるまで時間がかかるのかなとも感じました。昨今ではAIの急成長がWeb3の進み具合を凌駕しているという意見も聞いたことがありましたが、今後もWeb3業界全体を少しでも盛り上げるためにも、この様なイベントを開催していきたいなと思っています。

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