システム開発第二事業部の冨永です。
主にiOS/iPadアプリの開発を担当しております。
子どもが通う保育園の一部で、絵本の貸し出しが紙で管理されていることをご存じでしょうか?
ある日、4歳の娘が「パパ、今日絵本借りたい!」と嬉しそうに見せてくれた保育園の貸出表を見て、ふと思いました。
「……あれ、名前どこに書いたっけ?」
字が汚くて自分の名前が判読不能。。。。。そして、保育士さんに聞いたところ、半年に1回の貸出管理で毎回手間がかかるとのこと。
そこから、「これ、アプリでできたらいいのでは?」という軽い思いつきが、思いがけず“AIとパパの夏休みの自由工作”を始めるきっかけになりました。
目次
AIエージェントで爆速でモック開発
まずはモックを作ろうと、ちょうどAIエージェント(DevinやClaude Code)を試したかったこともあり、「テコテックのTecoTalk AIテーマ回」に合わせて、12時間でモックを作成しました。


園長先生に持っていったら…
次の日、保育園に持っていき園長先生に見せると、「ぜひお願いします〜!」と即決。
「じゃあおいおい作っていきますか〜」と気楽に考えていたところ、
次の週に掲示板で見つけてしまいました。
「来週、書庫の整理を行います」
なんと、半年に1回の書庫整理日が間近とのこと。
……時間なくね。。。。?
昼休みは園の“業者”に
というわけで、急遽爆速で開発を進める必要が出たのですが、貸出フロー、利用者の想定、貸出ルール、管理番号の採番方法などわからないことが多数。。。。。
ということで、開発前に現場のドメイン知識を身につけるために、昼休み(30分)を使って、保育園の書庫整理を一緒に手伝うことにしました。

実際に現場に入ってみると、いろんな発見がありました。
管理番号が重複している(同じ管理番号があるとのこと)
貸出期限は2週間ではなく1週間だった(娘よ。。。我が家2週間借りてないか。。。)
保護者も絵本を借りられる(新事実!)
借りられる本は1人1冊まで
年に一度、「進級処理」を入れてほしいとのこと
さらに何より、絵本の整理が想像以上に大変だということに気づきました。。。
何日も通っていたので、途中から先生に「業者さんですか?」と聞かれるようになりました(笑)
でもそのおかげで、ドメイン知識はしっかり獲得できました。
ベータ版の開発と試行錯誤
現場を理解した上で、アプリのベータ版を開発しました。ここからがエンジニア魂の燃えるところです。
実装する上で工夫した点は以下になります。
Google Books APIを利用し、タイトル or 著者から自動で絵本情報を取得(画像データから検索も考えたのですが、工数がかかりそうだったので一旦保留に。。。。)
園児と保護者を同時登録できるように設計
サーバ代をゼロにし、メンテナンス費用を極力かけない構成に
端末側で、他のアプリを触れないように設定
対象ユーザー(先生や保護者)が操作に慣れていないことを想定し、タブは2つまで、UIは極限までシンプルに
園児は対象ユーザには入っていないので、園児が興味を持たないよう音やアニメーションは極力使用しない
また、途中で困ったこととしては、
AIエージェントで最初に作ったモックでは、機能追加のたびに設計変更が必要になり、途中から開発スピードが落ちてしまいました。
結局、AIを使うにはプロンプト以前に設計・リント・ドメイン用語の整備をしなおし、設計レベルからリファクタリングを行いました。
ここの部分は後日またブログに書こうと思います。(当時はKiroなどがなくドキュメント駆動開発などがありませんでした。。)
そして、なんとか納品。。。。

想定外のトラブルと、家族の協力
納品後は園の先生方の協力もあり、300冊分の絵本の登録も完了しました。
あとはリリースだけかな。。と思ったのも束の間。
保育園から電話があり、「子どもが熱出したのかな」と思ったら、
バージョンアップした際に「データが全部消えました!」とのこと。
おいおいおいおい。。。。。
急遽昼休みに保育園に駆けつけ、バックアップ作業を開始。。。。
この時、「最悪バックアップできなくても1から登録しなおせば大丈夫よ」と言ってくれた保育園の先生の言葉が心強すぎました。
(とはいえ登録作業で1~2週間かかってたので、流石にそれは避けたい。。。。)
そして、何とかバックアップから回復することができました。(データ移行に失敗していたが、アプリ内部にはデータが残っていました)
そして、リリースの連絡が。。。

アプリを公開後、先生や保護者からの評判も上々でした。

また、妻が使い方マニュアルを作ってくれたおかげで、その後の使い方に関する理解もスムーズに進みました。

そして、娘からも優しい言葉が。
「たっくん(パパ)、アプリのお仕事忙しいのに、保育園の仕事もやったんだね。がんばったね」
下の1歳の子が大きくなったときに聞かれたら、サマーウォーズの名台詞みたいに言ってみたいです。
「だってこのアプリの開発者、俺だもん」
(バグはまだまだあるので、、、マジでこのセリフ言いそうなんですが、、、、)
とはいえ、まだまだ課題が残っています。
UIについて弊社のデザイナーに相談したところ、ペルソナ等をまず作ることからやった方が良いとのこと。デザイン修正案もいくつか頂いたので早速改善したい
絵本の管理で困っている他の保育園でも使えるようにAppStore公開したい
画像検索や音声検索も考慮し、検索を容易にしたい(VisionKit+Foundation Modelで絵本表紙検索を試したがフォント認識が難しいのが課題)
iPadOS 26のLiquid Glassデザインに最適化すべく、HIGを再読中
最後に
業務外の開発ではありますが、現場の声を聞き、課題を解決するためにアプリを形にできたのはエンジニアとして本当に貴重な経験でした。(AIエージェントも試せましたしね。)
なにより、自分の子どもが通う園で使われているというのはちょっとした誇りです。
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