こんにちは、証券フロンティア事業部の桑原です。
2023年度新卒として入社し、弊社の自社サービス「カビュウ」のユーザーサポート、iOS開発に携わっております。
本記事では、社内勉強会の新しい取り組みとして開催された「新卒輪読会」についてご紹介します。弊社の取り組みに関心を持っている就活生の皆様に向けた記事となっております。また、既にビジネスの現場で活躍されている方々にとっては、弊社の社内勉強会の一例としてご参考にしていただけると幸いです。
新卒輪読会
輪読会(りんどくかい)とは
"輪になって読む会"と書いて輪読会ですが、簡潔に表現すると以下の通りです。
グループで選定した書籍を共同で読み進め、その中で生じた感想や疑問点についてディスカッションを交わす勉強会
個人で技術書を読むことも大切ですが、輪読会特有のメリットもあります。
- 多様な背景を持つメンバーからの異なる視点や意見を共有できる
- 読んだ内容の理解や解釈を他者に伝えることで、より深く内容を吸収することができる
- メンバー間での単語やノウハウに共通認識ができるので、齟齬が生じる機会が減る
テコテックでは、有志によって不定期に輪読会が開催されています。 「この本、読んでみたいんですけど、興味ある方で輪読会しませんか?」という一声から始まり、異なる部署や年次のメンバーが集まって開催されます。
ただ単に「面白い本だったね!」で終わらせず、内容を会得し業務に活かすことを目的とした社内勉強会です。
発端・目的
弊社の経験豊富な先輩社員が、新卒の成長を応援すべく、新卒向けの輪読会を企画・運営してくださいました。 右も左も分からない我々に道筋を示してくださった訳ですね。この場で改めてお礼を申し上げます。
その背景には、業務において基盤となる知識や技術を、早期段階で習得することが、今後のキャリア形成において非常に重要であるとの考えがありました。
加えて、実務ので重要となるファシリテーター*1や議事録*2の経験を積むことも兼ねていました。
『リーダブルコード』について
新卒メンバーが所属する部署、関わる技術領域はそれぞれ異なります。
そのため、書籍については特定のプログラミング言語やテクノロジーに特化したものではなく、全てのエンジニアに共通する基本的な知識や考え方を学べるものを選ぶこととなりました。
上記を満たす書籍として選ばれたのは 『リーダブルコード ーより良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック』です。 名は体を表すというか、タイトルからおおよその内容がわかりますね。
以下、出版社公式サイトから概要の引用です。
美しいコードを見ると感動する。優れたコードは見た瞬間に何をしているかが伝わってくる。そういうコードは使うのが楽しいし、自分のコードもそうあるべきだと思わせてくれる。本書の目的は、君のコードを良くすることだ。(本書「はじめに」より) コードは理解しやすくなければならない。本書はこの原則を日々のコーディングの様々な場面に当てはめる方法を紹介します。名前の付け方、コメントの書き方など表面上の改善について。コードを動かすための制御フロー、論理式、変数などループとロジックについて。またコードを再構成するための方法。さらにテストの書き方などについて、楽しいイラストと共に説明しています。日本語版ではRubyやgroongaのコミッタとしても著名な須藤功平氏による解説を収録。
発刊されたのは2012年と、技術書籍としては少し古い部類に入るかもしれませんが、本書には時代を超えて役立つ知識や考え方が詰まっています。
現代のエンジニアリングシーンにもしっかりと寄与しており、むしろ「時代を経ても色褪せない名著」として名前が挙がる機会も多いです。
開催形式
- 参加メンバーは新入社員6名と先輩社員2名
- 開催ペースは毎日(通常の輪読会が週1、2回程度の開催が多いですが、今回は「早期に一冊を読み終えたい」という熱心な要望から毎日の開催を決定しました。)
- 1日につき1章をディスカッション。全体としては15回のセッションです。
- 書籍の該当部分をあらかじめ読んでくる。
- ファシリテーターは持ち回り。(初回は先輩社員が担当し、その後は新卒で順番に担当。)
当日の流れは以下の通りです。
- 輪読会の最初の2分間は、内容確認のための時間。
- その後ファシリテーターがリードし、順番に各参加者の意見や感想を聞き取ります。この際、具体的な内容について深く掘り下げたり、疑問点や異なった視点での意見交換を活発に行います。
- 会の内容は議事録担当者が記録します。
所感
書籍の感想
この書籍は、ユーモアを交えた解説で非常に読みやすく、実務に役立つ具体的な知見が詰まっています。 私が特に学びを得たと感じる部分を3つに絞って紹介します。
コードは書く時間より読む時間のほうが長いということを自覚
迅速に理解できるコードを書くことはプロジェクトの効率化や品質向上に直結するということです。
また、コードの読者は、現在のチームメンバーだけでなく、将来参加するメンバーや数か月後の自分自身であるかもしれないことを常に意識し、気遣いを散りばめたコードを書く心構えが必要がです。
最善の答えを導くために様々なパターンを考えることを厭わない
変数の命名やメソッドの構成について、慣習に従ってすんなり決まることもあります。
そうではない場合、数パターン考えて、こっちだと誤った解釈をしてしまう...こっちだと情報を詰めすぎて冗長になっているから...といった感じで何度も練り直して良いコードをつくりあげることが大切。 また、「良いコードを書くためには試行錯誤に時間をかける」という事前の覚悟が大事だと感じました。
アウトプットすることでよい手法が見つかる
他者に説明することで、重要なキーワードやフレーズを認識でき、自身の理解が整理されます。
そうすることで、この関数は抜き出したほうがいいとか、この変数は前にもってきたほうがいいなどの手段を理由立てて言語化することができます。
2つ目と3つ目のポイントは、コーディングのみならず、一般的な業務の進め方やコミュニケーションにも通じる考え方となっていますね。
輪読会の感想
はじめに述べた輪読会のメリットと重複する部分もありますが、大事さを再認識した部分に関して書こうと思います。
他人の視点は大事
他人の視点は非常に貴重です。
読んでいる本に対する理解度のスタートラインはほぼ同じですが、その人の人生経験、重要視していることの違いにより、異なる着眼点からの意見を聞くことができました。
アウトプットの大切さ
情報や知識の吸収は、受け身の姿勢だけではなく、積極的なアウトプットが不可欠です。他人に伝えるためのプロセスを経ることで、自らの理解がより深まります。
また、このアウトプットの際に他者の反応があることで、さらなる質の高い理解につながります。
先輩に質問できる環境のありがたさ
経験豊富な先輩社員に直接、その知識が実務でどのように活用されているのか質問することができました。
リアルな経験やアドバイスは、書籍の内容を実務に活かす上での具体的なイメージ形成の助けになりました。
目的は達成できたのか
業務において基盤となる知識や技術を、早期段階で習得する
『リーダブルコード』の内容は、即実践できるものから時間と経験を必要とするものまで多岐にわたります。
書籍の初めの部分、特に変数名やコメントの書き方などの基礎的なテクニックは、輪読会を開催している間にも積極的に取り入れることができました。
このような取り組みにより、我々新卒のコーディングの質が向上したことを実感しています。
一方で、書籍の後半部分にはまだ触れる機会がない領域もあります。これらの内容は、今後の学びの目標として掲げ、経験を積んで習得していく所存です。
ファシリテーターや議事録の経験を積む
経験を積むということは達成できたと感じますが、その内容・質についてはまだまだ至らぬ点が多いと感じています。
ファシリテーターは参加者の意見を聴きながら、そこもっと掘り下げたいな、ここ話題として盛り上がりそうだなといった所を膨らませていきます。これは事前準備に加えてその場での判断も必要であり、難しさを感じました。
"新卒だから"というフレーズを理由に、ファシリテーターや議事録のスキルを疎かにすることは避けたいと考えています。
これからも、継続的なブラッシュアップを図り、更なる成長を目指して参ります。
さいごに
『リーダブルコード』は技術的な知見を深めるのに非常に有益な一冊であり、新卒輪読会はその習得を後押ししてくれる有意義な取り組みでした。 それを踏まえた上で、今後の意識の持ち方について書き記したいと思います。
「この本にこう書いてあったから、これが絶対!」という考え方は、時に視野を狭める恐れがあります。 名著と呼ばれる書籍や有用な情報源から得られる知識や技術は大切です。しかし、それを鵜呑みにするのではなく、多角的に物事を見る姿勢が求められます。
加えて、実際の現場では関わる人々とのコミュニケーションも欠かせません。 コードの書き方や設計思想だけでなく、それを実際に開発するチームメンバーとの意思疎通は、より良い結果を生むための鍵となります。
これからも多様な情報を取り入れながら、成長していきます。
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