【月刊】Web3.0トピック振り返り~2024年4月編~

はじめに

こんにちは。次世代デジタル基盤開発事業部の鈴木康男です。エンジニア・PMとして、Web3.0に関わるプロジェクトを担当しております。

「【月刊】Web3.0トピック振り返り」では、毎月Web3.0関連で気になったトピックを取り上げて紹介していきます。

1. ビットコインで4度目の半減期が完了

ビットコインでは、「半減期」という重要なイベントがあります。半減期は、約4年ごとに設定されており、マイニング(採掘)によってマイナー(ビットコインに計算リソースを提供しているコンピューターおよび管理者)が得られる報酬が半分に減少することを意味します。半減期は、ビットコインの供給量の増加を制御しインフレを防ぐために設計されています。 今回、2024年4月に半減期を迎え、ビットコインのマイニング報酬は6.25BTCから3.125BTCへと削減されました。

過去の半減期の前後では、相場への影響が顕著でした。しかし今回は5月時点での各メディアでの考察を見ますと、半減期の相場への影響が以前ほどではないとする意見が目立ちます。 ETFに承認されるなどして、金などのコモディティと同様に安全資産と見なされ始めているため、半減期の影響が相対的に小さくなっているのではと個人的には考えています。 coinpost.jp

2. チェーン抽象化技術が拡大中

「チェーン抽象化」という新たなプロダクトカテゴリが登場してきました。 チェーン抽象化は、異なるブロックチェーン間での操作を簡素化し、ユーザーが複数のブロックチェーンをまたいで容易にトランザクションを行えるようにする技術です。

現状、ブロックチェーンのユーザーが直面している課題の一つは、複数のチェーンを扱いたい場合に、各チェーンのネイティブトークンが必要なことです。 ブロックチェーンで操作を行うためには、ガス代と呼ばれる手数料が必要になります。 ネイティブトークンは、ガス代を支払うために必要なトークンです。 例えば、チェーンAからチェーンBにトークンを送信した後、チェーンBのネイティブトークンを保有していないのであれば、チェーンBでトークンの操作ができないことになります。

この課題を解決するのが、「チェーン抽象化」です。チェーンAのネイティブトークンを持っていれば、チェーンBでの操作も行うことができるようになります。

チェーン抽象化技術を銀行に例えるなら、ある銀行で口座を開設し、手数料を預ければ、自動的に他の銀行や海外の銀行にも口座が作られ、どの口座にも自由に資産を移動できるような仕組みと言えます。

2024年4月には、このようなチェーン抽象化技術を取り入れた新しいプロダクト「Miki」が発表されました。 Mikiは、複数のブロックチェーンにまたがる資産管理を簡単にし、ユーザーが任意のチェーンで自由にトランザクションを実行できるように設計されています。

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3. SuiのMysten Labs、初のWeb3.0携帯型ゲーム機「SuiPlay0x1」販売へ

米Mysten Labsは、初のWeb3.0対応携帯型ゲーム機「SuiPlay0x1」を発表しました。 このデバイスは、ゲーム開発企業プレイトロンが製造し、2025年に販売開始予定です。 価格は500ドル前後で、Web3.0ネイティブ機能を備えており、ウェイティングリストの登録が開始されています。

ハードウェア製造には在庫過多などのリスクが伴います。ゆえにSuiの挑戦的な姿勢が際立っていると感じます。特に携帯型ゲーム機へのWeb3.0技術の導入は、新たな市場を切り開く大胆な試みだと感じます。

Web3.0のゲームは「稼ぐこと」にフォーカスされ、ゲームの体験が従来のゲームより低くなっているという指摘を受けることもしばしばです。 しかし、今後はPCやスマホ、携帯型ゲーム機を問わず、プレイヤーにとって魅力的なゲーム体験が求められます。 「SuiPlay0x1」では、ゲームに特化したハードを活かし、体験価値が高い作品が出てくることが期待されます。

www.neweconomy.jp

4. ソフトバンクG出資のレモネード、DeFiで保険の可能性を広げる

ソフトバンクグループが出資するレモネード(Lemonade)は、ブロックチェーンを活用した新しい保険商品を発表しました。 レモネードは、2015年に米国で誕生した保険会社です。 今回発表された商品は、アフリカの小規模農家を対象とした気候変動保険で、スマートコントラクトにより保険金の請求プロセスを自動化し、迅速かつ公平に処理します。 気象データや収穫量の変化をブロックチェーン上のスマートコントラクトに送信し、保険金がステーブルコインとして支払われる仕組みです。 また、外部データとスマートコントラクトを接続するためには、オラクルサービスであるChainlinkが利用されています。 ケニアでは約7000の農家がこの保険に加入しており、旧型の携帯電話(フィーチャーフォン)からでも加入が可能です。

ブロックチェーン技術が、保険などの既存の金融システムをより便利にする力を持っていると再認識できる事例です。 人手のオペレーションを介さないスマートコントラクトの活用によって、従来のコスト構造を大幅に削減できるポテンシャルがあります。

今後ますます、既存金融をブロックチェーンでアップデートするビジネスが加速するのではと考えます。

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5. Web2.0/3.0の本質的な違いはどこにあるか

Web3.0領域(参照記事中では一貫してCryptoと表記されていますが、本ブログでは厳密な定義の違いには触れずWeb3.0と置き換えて言及します) における重要な設計思想についてまとめた記事の紹介です。 ネットワーク効果や正の外部性、Fat ProtocolとThin Application、Hyperstructureなど、Web3.0の特有の概念について詳しく述べられています。

記事を一読して、「正の外部性」を持つプロダクトの存在は、Web2.0とWeb3.0の本質的な違いだと認識しました。 Web3.0のプロダクトは、他のプロダクトに対してポジティブな影響を与えることで、その価値を高めることがあります。 例えば、Uniswapの流動性提供を自動化するGammaは、Uniswapの価値を向上させる正の外部性を持っています。 Web2.0において各種SNSサービスがユーザーを奪い合っている構図とは対照的です。 Web3.0でビジネスモデルを考える上で、正の外部性は重要な観点になりますね。

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今回取り上げたトピックは以上です! 次回もぜひご一読ください。

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