【月刊】Web3.0トピック振り返り~2024年6月編~

はじめに

こんにちは。次世代デジタル基盤開発事業部の鈴木康男です。エンジニア・PMとして、Web3.0に関わるプロジェクトを担当しております。

「【月刊】Web3.0トピック振り返り」では、毎月Web3.0関連で気になったトピックを取り上げて紹介していきます。

1. ソラナ、ZK圧縮技術でデータの保存コストを削減

ZK(Zero-Knowledge、ゼロ知識)圧縮技術を提供するライトプロトコル(Light Protocol)が、データインフラ企業ヘリウス(Helius)と提携し、ソラナ(Solana)上で圧縮データを簡単に利用できるインフラの提供を開始しました。 ソラナは、高速で低コストな取引を実現するために設計された、スマートコントラクト機能を持つ高性能なブロックチェーンです。 ZK圧縮技術により、ブロックチェーンのデータ保存コストが大幅に削減され、同時にデータの正確性も保証されます。

新しいインフラにより、ソラナのユーザーや開発者は、ZK圧縮の複雑な仕組みを理解していなくても、データプライバシーを保持しつつ効率的なデータ管理と検証が可能になります。

ソラナは従来からコスト(ガス代)の低さには定評がありましたが、今回のZK圧縮技術の導入により、その強みがさらに増強されました。 ZK圧縮技術は、ブロックチェーンのコスト削減とプライバシー保護の両面で活用できる技術であり、今後の業界での応用範囲は非常に広いと考えられます。

この技術提供が他のブロックチェーンの動向にどれほど影響を与えるのか、今後の展開が非常に楽しみです。

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2. LayerZero、エアドロップに革新的な寄付システムを導入

オムニチェーンプロトコル「LayerZero」が独自トークン「ZRO」のエアドロップに、新たな請求メカニズム「Proof-of-Donation」を導入しました。 エアドロップとは、定められた条件を満たしたユーザーに対して、暗号資産の発行者がトークンを無償配布することです。 エアドロップは、マーケティング戦略やトークンの流動性向上、コミュニティ形成を目的として行われることが多いです。 「Proof-of-Donation」では、ユーザーがZROを請求する際に1ZROあたり0.1ドルの寄付が必須となります。集まった寄付金はEthereumのコア開発者支援団体「Protocol Guild」に直接送られます。

このアプローチは、エアドロップを受けるユーザーにコストを課すことで、コミュニティに真剣に貢献しうる参加者を選別する試みと言えます。 従来のエアドロップで問題視されてきたダンピング(無償で配布されるトークンを即座に売却する)への対策としても注目されます。

エアドロップ対象者の選定方法は、ブロックチェーン業界において常に議論の的です。 コミュニティに対して真に貢献できるユーザーをどう定義し選別するか、その答えはプロジェクトによって異なります。 LayerZeroの取り組みは、寄付を通じてユーザーの真剣度を測る新たなアプローチとして、業界に一石を投じています。 今後、他のプロジェクトの動向も含め、エアドロップの在り方がどのように進化していくか注目されます。

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3. テザー社、金裏付けの新ステーブルコイン「aUSDT」を発表

テザー社が新たなステーブルコイン「aUSDT」を発表しました。 このコインは、1ドルの価値を保ち、テザー・ゴールド(XAUT)を担保に持つという特徴を持ちます。 XAUTはスイスの金庫で保管される現物金によって裏付けられており、aUSDTは間接的に金の裏付けを持つステーブルコインとなります。

aUSDTは、金現物という比較的ボラティリティの低い資産で運用しながら、ステーブルコインとしての利便性も兼ね備えている点が注目に値します。 ユーザーは、保有しているテザー・ゴールドをただ保有するのではなく担保として預け入れることで、ステーブルコインのaUSDTを発行して運用や決済に使うことができます。 つまり、aUSDTは資産運用をしつつ、決済などの取引を行うことを両立させる可能性を秘めています。 暗号資産の実用性を高め、より幅広い層への普及を促進する可能性のある取り組みだと感じます。

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4. 大手金融機関ら、分散型ID/デジタル証明書(DID/VC)の共同検討開始

大手金融機関によるDID/VC共創コンソーシアムは、分散型ID(DID)とデジタル証明書(VC)を活用した新しい本人確認の仕組みの検討を始めました。 金融機関が行った本人確認(KYC)結果を「本人確認済VC」として消費者に発行し、他の金融サービスで利用できる仕組みを検討しています。

現段階ではブロックチェーンの活用が明確に言及されているわけではありません。 しかし、DID/VCの仕組みは、ブロックチェーン技術と親和性が高く、耐改ざん性や運用コストの面でメリットがあると考えます。 ブロックチェーンの活用を視野に入れた検討を個人的には期待しています。

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5. Web3.0インフラ開発のAlchemyがロールアップサービス提供

Web3.0インフラ大手のAlchemyが、新サービス「Alchemy Rollups」を発表しました。 これは、開発者が独自のブロックチェーンを迅速かつ効率的に構築できるロールアップ・アズ・ア・サービス(RaaS)ソリューションです。

Alchemy Rollupsは、イーサリアムのセキュリティを活用しながら、低コストでチェーンの開発を可能にします。 OPスタックやアービトラムオービット(Arbitrum Orbit)などの開発キットをサポートし、セレスティア(Celestia)をデータ可用性レイヤーとして利用することもできます。

従来、ブロックチェーンの開発には多大な時間と専門知識が必要でしたが、Alchemy Rollupsによってより多くの開発者が簡単にブロックチェーンを立ち上げられるようになります。

一方で、チェーンの立ち上げが容易になるということは、差別化がより重要になることも意味します。開発者は単にチェーンを作るだけでなく、チェーンの目的を明確にし、独自性のあるアプリケーションを構築するなどしてユーザーを呼び込む必要が出てきます。今後ますます、アイデアの質と実行力が重要になってくると感じます。

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今回取り上げたトピックは以上です! 次回もぜひご一読ください。

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